日本にはなぜ、チップの習慣が無いのでしょうか。
米国人の知り合いに、
「米国はチップの習慣があるから
チップを沢山もらおうと努力するので、
サービスが向上してとても良い習慣ですね。」
と言ったら、
米国人の知り合いは、
「そんなことはないよ。
日本はチップの習慣がないのに
素晴らしいサービスをする。」
と自国のサービスをかなり否定していた。
ところで、
日本にはなぜ、チップの習慣が無いのでしょうか?
まず、歴史のひもを解いてみますと、
江戸時代では全体の93%が自営業者で、
残りの7%は公務員的な武士でありました。
自営業者のほとんどが職人を生業としていました。
現代では、職人のなり手が減りつつあると同時に、
高い技術が認められ、
超一流クラスの一部では、
収入的に見てもかなり評価されています。
しかし、江戸時代では、
超一流の腕を磨くことは当たり前の事であり、
一人前として生活するための
スタート地点でした。
つまり、最高のサービスをすることは
超一流の腕をふるうことであって、
当たり前の行動でした。
その腕に見合った見返りをもらえば良くて、
チップ等の多寡によって
その腕の振る舞い方を一々変えないと言うことです。
逆に米国では当時、
奴隷を使った産業によって、
大きなお金を生み出していました。
奴隷は基本的に、自分本位では無い行動を強いられるため、
それに代わる何かが必要であります。
見返りによっては行動を自由に変えられるため、
チップの習慣が生まれたのだと考えます。
因みに、チップは
レストラン、ベットメイキング、タクシーなど
一時的に雇用の関係を結ぶ場合に用いられます。
日本の場合は
雇用者側(職人)にサービスの主導権があり、
チップの習慣がある国の場合は
被雇用者側(客)にサービスの主導権があります。
『自分にしてもらいたいと望むとおり、人にもそのようにしなさい。』聖書
本来サービスを考えるべき人は、
提供する側だと思います。
yui